花屋さんになるには向いているのはどんな人?求められるスキルって?
色とりどりの花に囲まれて、最近は雑誌やSNSなどでもおしゃれな仕事として注目されることの多い花屋さんの仕事。街中でも雑貨屋さんやカフェを併設したおしゃれなお店が増え、注目度が高まっている仕事です。
しかしいざ将来花屋さんを目指したいと思い立っても、必要とされるスキルや技術がわかりづらく、働き始めるまでの道のりもわかりづらいと悩む人が多いようです。
今回の記事では、将来花屋さんを志す人のために、花屋さんで求められる人材や、働く上で必要とされるスキルや資格について解説していきます。
花屋さんに必要とされる人材とは?
花に囲まれた店内で、花束やアレンジメントを製作しているイメージを持つ人が多い花屋さんの仕事。しかし実際は力仕事が多く、やる気と体力が必要な職業です。
また店舗を持つ花屋さんであれば、お客さまとコミュニケーションを取る機会がとても多く、接客のスキルも求められます。
実際、花屋さんで働くにはどんな人材が求められているのでしょうか。具体的な内容をご紹介します。
花が好きで、花屋の仕事を好きになれる人
花屋さんで働き続けるには、花が好きで、花屋で働くことが好きという気持ちが欠かせません。花屋さんの仕事内容は、実は見た目以上に大変です。
仕入れを店舗で担っている場合は、早朝からの勤務になりますし、基本的には立ち仕事で、お給料面でも他の職種に比べて決して高いとは言えません。
そのため、花屋さんで長く働き続けるためには、大変なことはあっても花を扱う花屋さんでの仕事が好きという気持ちが必要不可欠と言えます。
実際に働く人も、花と花屋さんでの仕事がとにかく好きで続けているという人が多いです。
また出産や体力面などから一度花業界から離れても、やっぱり花に関する仕事がしたいと戻ってくる人がとても多い仕事でもあります。
他の仕事同様、好きだけで続けられるわけではなく、大変なことももちろんあります。
それでも花と花屋さんの仕事が好きと想える、強い意思を持った人材が求められると言えるでしょう。
体力がある人
花屋さんで働く上で、体力も必要不可欠です。
花屋さんは、花や花束を販売するという意味では接客業や販売業ですが、実際にお客さまに見えない部分では体力が必要な仕事がいくつもあります。
まずは、勤務時間です。
これは働くお店によってかなり差がありますが、仕入れを自分のお店で担っている店舗では、仕入れのある日は早朝からの勤務になります。
また、母の日や年末年始など、花屋さんにとって繁忙期と言われる時期は、店内のディスプレイ替えや準備などで、帰宅時間が遅くなるといったケースも多いです。
また、花屋さんには水仕事もあります。
大きな桶や花瓶はかなりの重量になりますし、イベントのディスプレイを担う仕事であれば重い什器を運んだり、設置したりするのも花屋の仕事です。
店舗に勤務するのであれば、お客さまに依頼された花束やアレンジメントをスピーディーに製作するスピード感も求められるでしょう。仕事中に座っていることはほとんどありません。
1年で繁忙期に合わせ、働き方が変化するのも特徴なので、自分の体調管理がしっかりできて、尚且つ体力がある人材が求められます。
コミュニケーション能力
店舗で働く花屋さんであれば、お客さまやスタッフとのコミュニケーション能力が必要となります。イベント装花やディスプレイを担う仕事であれば、クライアントや現場スタッフと力を合わせて一緒に仕事をする力など、働く上で欠かせないスキルがコミュニケーション能力です。
花屋さんは、お客さまやクライアントから希望の花の雰囲気や色合いを聞いて、そのイメージに合った花束やディスプレイ、装花を仕上げるのが仕事です。
店舗で働く花屋さんであれば、すべてのお客さまが花に詳しいわけではありません。
そのなかで、お客さまとの会話から想像しているイメージを引き出し、より理想に近い花束やアレンジメントを仕上げるためには、フラワーデザイナーの会話力が不可欠です。
人と話すことが好きで、お客さまに寄り添った会話ができる人が花屋さんの仕事に向いていると言えます。
イベントディスプレイも同様、クライアントとのコミュニケーションが取れていなければ、どんなに素敵な作品を作ったとしても満足してもらうことはできないでしょう。
特に、花が必要とされるシーンは、結婚式や入学式、卒業式、プロポーズなど、人生において大切な場面が多くなります。
そんな大切なシーンを担う花を作る花屋さんの仕事に失敗は決して許されません。
しっかりとお客さまやクライアント、共に働くスタッフとコミュニケーションが取れるスキルを持っていることはとても大切な力です。
技術とセンス
美しい花束やアレンジメントを作るためには、花を扱う技術と、花合わせや色に関するセンスが求められます。
花を扱う技術に関しては、実際に働き始めてから学ぶこともできますが、花合わせや色合わせのセンスは、正解があるわけではないので、その人の持つセンスも問われる仕事です。
また、実際に花束やアレンジメント、装花が使われるシーンを想像して作品を仕上げる、クリエイティブな才能も求められます。
美しいと思う基準は人それぞれなので、ある程度自分のセンスに自信が持てることも、花屋として働き続けるために必要な力です。
常にスキルアップする向上心
どんなに長く働いていても、常にスキルアップを目指し、向上心を持って働けることも大切です。
働き始めは、花の名前や品種を覚えることからはじめ、花束やアレンジメントの製作技術を学びます。
同じ種類の花でも表情に違いがあるので、何度も繰り返し多くの花に触れることで、さまざまなケースを学び、技術を高める必要があるでしょう。
また、洋服やインテリア同様、花にもトレンドがあります。
長く働いていていても、常にトレンドを把握し、自分のセンスや技術を磨く努力が欠かせません。仕事以外のプライベートでも、芸術作品に触れたり、街で流行をキャッチしたりと、常にトレンドに敏感に慣れる人が向いていると言えます。
働くために必要な資格はある?
求められるスキルはたくさんありますが、実は花屋として働く上で、絶対に必要な資格はありません。
花屋さんの求人内容も、学歴不問、資格不要などの募集が多く、やる気があれば誰でも応募しやすい内容です。
花屋さんで働く上で資格を持っていることは、必須条件ではありませんが将来自分の実力を証明するためのツールになったり、採用試験を受けるうえで実力の証明になったりする機会もあるはずです。
この項目では、花屋さんの仕事に関連した資格について紹介します。
国家資格「フラワー装飾技能士」
花に関する唯一の国家資格です。
学科試験と実技試験に分かれていて、実技試験では実際に卓上の装花やフラワーアレンジメント、花束の制作を行います。
試験が開催されるのは年1回。
フラワー装飾技能士は1級から3級まであり、2級、3級の合格率は7〜8割程度、1級の合格率は5割程度です。しっかりとした知識、技術、さらに1級を受験するためにはある程度の実務経験がなければ合格できないため、将来講師として活躍したい人や自分のお店を持ちたい人にとっては、持っていると信頼されるには十分な資格であると言えるでしょう。
民間資格「フラワーデザイナー」
民間資格の中では、公益社団法人日本フラワーデザイナー協会が主催する「フラワーデザイナー」の資格が有名です。
1967年から50年以上の歴史がある資格なので、花業界でも知名度が高く、比較的信頼性が高い特徴があります。
ただし資格を取得するためには、公認スクールで認定講師からフラワーデザインを学び、単位を取得することが条件です。
試験の準備をしてから、資格試験を受けることになるため、合格率は2級、3級ではほぼ100%、1級でも8割とかなり高い数字となります。
資格を取得するまでの間もスキルアップが期待できるので、将来、花に関する仕事に就きたいなら持っておいて損はない資格です。
普通自動車免許
花に関する資格ではありませんが、持っていると働く場所の選択肢が広がるのが普通自動車運転免許です。
実は個人経営の花屋さんで働く場合には、仕入れからお客さまへの配達までを自社の車で担っているケースも多く、車を運転する機会がとても多いです。
フリーランスのフラワーデザイナーとして働く場合も同様、会場装飾に必要な什器や花材を、自分で運ばなければならないといったケースも多いので、仕事をする上で車が欠かせません。
運転免許を持っていないとそれらの業務を1人でこなすのは難しいため、将来フリーランスとして独立を考えている人は特に、仕事の幅を広げるためにも取得しておきたい資格です。
とは言ってもトラックのような大型車を運転するわけではないので、普通自動車運転免許を取得しておきましょう。
未経験から花屋になるのに必要な力は?
では実際に花に関する仕事を目指す場合、どうやって知識や技術を身に付けたらよいのでしょうか。
現在花屋さんで働く人の中にも、未経験から経験を積んでフラワーデザイナーとして活躍する人がたくさんいます。
花屋さんを目指すために、決まったルートはないので、自分に合った方法で花に関する知識と技術を身に付けスキルアップを目指しましょう。
花屋でアルバイトをする
働きながら花に関する知識と技術を身に付けるなら、花屋さんでアルバイトの採用を目指すのが近道です。
特に繁忙期と呼ばれる母の日や年末年始には、花屋さんで短期アルバイトの求人募集が増えます。
短期アルバイトでの働きぶりが認められれば、長期アルバイトとしてそのまま採用につながるケースも多いので、花屋で働きたい人にとっては採用への近道と言えるでしょう。
また、正社員の募集は少なくても、アルバイト採用であれば採用枠はぐっと広がります。
花屋さんは、働くお店によってお店のテイストや、雇用形態に差があることが多いので、自分に合った雰囲気のお店をリサーチしてから応募することも大切です。
たとえば大手チェーンの花屋さんであれば、働く人数も多いので、雇用保険や福利厚生などの制度がしっかりしているお店が多いのが特徴です。
逆に、個人経営のお店では、店長以外はすべてアルバイトというお店も多くあります。その分、花以外の経営などについても身近で学びやすいのがメリットと言えます。
自分が将来働きたいイメージを明確にし、それに直結する知識や技術、経験が学べる場所を選んで働くことが大切です。
花に関する専門学校に通う
花に関する専門学校では、花に関する知識、アレンジメントや花束の製作技術、空間装飾にいたるまで、花屋で働くために必要な基礎をしっかり学ぶことが出来ます。
また花屋さんのアルバイトでは学びづらい、経営やパソコンに関するスキルも同時に身に付けられるのも専門学校ならではのメリットです。
就職先を探す際も、専門学校が窓口になってくれるので、より幅広い求人募集に応募する機会が増えるでしょう。
お花の教室やスクール
専門学校ではありませんが、花の扱い方や基本的な技術であれば、生け花やフラワーアレンジメントのスクールやレッスンで学ぶこともできます。
専門学校に比べると入学金や学費などが抑えられますが、レッスンで学べるのはフラワーアレンジメントの技術や資格取得に特化したものがほとんどです。
市場の仕入れや、花の知識、会場装花に関して教室やレッスンで学ぶのには限界があります。
しかしある程度基本的な花の扱いを心得た上で、花屋さんで働き始めることで、より仕事をスムーズに進められるというメリットはあるでしょう。
花屋の面接についてよくある質問
花屋さんを目指す人の多くは実際に、花屋さんでアルバイトや正社員として働くというケースが多くなりますよね。
最後の項目では、実際に花屋さんの面接で、どんな人材が求められているのかについて解説していきます。
花屋さんの面接では何を聞かれる?
面接では他の仕事同様、志望動機や今後花屋さんとしてどのような働き方をしていきたいかを問われます。
未経験からの応募であれば、何か仕事に活かせるアピールポイントをしっかりと伝えておくことが大切です。たとえば花に関する仕事ではなくても、接客業の経験があればコミュニケーション能力があることは花屋さんで働く上でも大きな強みとなります。
専門学校やスクールで花を扱った経験がある場合は、現在のスキルについての質問もあります。また、やる気と合わせて花屋さんで働き続けるためには体力が欠かせません。
想像以上に体力が必要な仕事であること、その仕事内容についてもしっかり理解があるかなども問われるでしょう。
また、母の日や年末年始などは、お店のスタッフ総出で花やお店の準備をする必要があります。土日祝日の出勤が可能かどうか、シフトの融通が効くかどうかなども面接で問われるポイントです。
学生の募集や年齢制限はある?
花屋さんは、働いてから数年は花の知識や扱い方、さらに花束、アレンジメントの製作技術を学びます。
1人でお客さまの花束やアレンジメントを任せてもらえるようになるまでは、ある程度の年数が必要です。
そのため、求人募集に年齢制限を設けているという花屋さんが多いです。
同様の理由で、シフトに入る時間が短くなる学生アルバイトの募集もあまり多くはありません。
しかし、学生の段階で早くから花屋さんでアルバイトをして知識や技術を身に付けておきたいという理由や、転職で花屋さんを目指したいという場合は、何歳からであっても目指すことができる仕事です。
お店や働く場所によって、求められる人材はさまざまなので、年齢だけであきらめずにぜひ挑戦してみましょう。採用されるための努力を惜しまなければ、きっとお店にも、その熱意が伝わるはずです。
花屋さんの面接の服装は?
服装や髪色に関しては、どこで働くかによって条件がかなり変わります。
服装も髪色も自由でエプロンのみ貸し出しがある花屋さんもありますし、襟付きのシャツなどある程度のドレスコードが決まっているお店もあります。
まずは、自分が面接を受けるお店についてリサーチし、お店の雰囲気に合った服装選びが大切です。
花屋さんは接客業なので、清潔感があり、明るい印象の服装選びを心がけましょう。
面接の応募の時に私服で構いませんと伝えてくれるお店もあります。
正社員の募集であれば、ビジネスカジュアルを基準にした服装選びが良いでしょう。
花屋さんは、センスも問われる仕事なので、メイクやおしゃれにも気を遣って働く人も多いです。お店で働く人をチェックして、周りの雰囲気に合わせた服装選びができると、なお良いでしょう。
花屋さんに求められる人材を知って、憧れの花屋さんを目指そう
花屋さんに求められる人材と、必要とされるスキルや能力について解説しました。
花屋さんは、お客さまの人生の大切なシーンを、花を通じて一緒に共有することができる、とてもやりがいのある仕事です。
働くために求められる知識や技術も多いですが、何より花が好きで、花屋さんが好きという気持ちが、つらい時の何よりの支えになってくれることでしょう。
その大好きな気持ちを大切に、ぜひ憧れの花屋さんへの第一歩を踏み出してくださいね。