花の魅力を仕事として本気で追求したい方へ

花屋という仕事を、あらためて考えてみませんか
花屋の仕事に憧れを抱く人は少なくありません。
色とりどおりの花に囲まれ、誰かの大切な日に寄り添う仕事。そのイメージに惹かれて、花業界に足を踏み入れた方も多いのではないでしょうか。
一方で、実際に現場を経験した人ほど、「花屋は決して楽な仕事ではない」ということを、身をもって知っています。早朝から始まる水揚げ、重たいバケツや資材の運搬、季節や天候に左右される仕入れと花材管理。華やかな完成形の裏側には、地道で体力のいる作業が積み重なっています。
それでもなお「やっぱり花の仕事が好きだ」と感じ続けている人が、花業界には確かに存在します。続けた人だけが知っている喜びが、花の現場にはあります。
花は、いつも誰かの事情と一緒にある
花は単なる商品ではありません。多くの場合、そこには贈られる理由があります。
開店や移転、就任や昇進。舞台やライブ、公演、周年記念。あるいは言葉にしきれない感謝や応援の気持ち。花屋の仕事は、その背景すべてを知るわけではありません。それでも「きっと今日は大切な日なのだろう」と想像しながら、一つひとつの花に手を添えていきます。
経験を積んだ人ほど、花の扱い方だけでなく、その花が置かれる場や空気を意識するようになります。派手で目立つことよりも、きちんとその場所に馴染むこと。主役を引き立てる存在であること。花屋という仕事は前に出る仕事でありながら、同時に誰かの一歩後ろに立つ仕事でもあります。
現場で「この花は写真に残る」「この花は入口で最初に見られる」「この花は近くで見られる」など、置かれる状況を想像する力は、経験者の大切な財産です。花材の選択も、組み方も、仕上げの清潔感も、すべてがその場の印象に直結します。花の仕事は、静かな総合力で成り立っています。
花屋の現場は、チームで成り立っている
花屋の仕事は決して一人では完結しません。仕入れ、下処理、制作、検品、配送。それぞれの工程が、静かにつながっています。現場では自分の作業だけでなく、全体の流れを感じ取る力が求められます。
経験者が一人いるだけで、現場の空気が落ち着くことがあります。声を荒げなくても、必要なタイミングで必要な一言が自然と出てくる。困っている人に、さりげなく手が伸びる。あわてる前に「ここ先に片づけよう」と段取りが整う。そうした積み重ねが、結局いちばん現場を強くします。
花の現場は、忙しいときほど言葉が少なくなります。だからこそ、短い声かけの質が大切になります。「これ、先やります」「ここ、見ておきます」「あと五分で回せます」。たった一言で全体が動くことがある。現場を知っている人ほど、言葉が少なくても通じる、という強さを持っています。
季節が仕事の流れをつくる
花屋の働き方を語るうえで欠かせないのが、季節の波です。母の日、年末、お彼岸、卒業・送別、入学、ブライダルの増える時期。現場は季節と一緒に忙しさが変わります。花屋の一年は、カレンダーよりも行事で進みます。
経験者は、ここに慣れています。むしろ「波があること」を前提に、体力や気持ちを配分してきたはずです。忙しい時期は忙しい。でも、そのピークを越えると、次の季節の花が入り、空気が変わり、また違う楽しみが出てくる。花の現場は、同じ毎日が続くようでいて、二週間後には花材も色も空気も変わっている。そこが、この仕事の飽きなさでもあります。
一方で、季節の波は、体に負担をかけます。忙しい時期に手荒れが悪化する人もいますし、冬場の水仕事は想像以上に辛い日があります。だからこそ、花屋は「根性」だけではなく「自分を守る技術」も大事になります。手袋の使い分け、ハンドケアの習慣、体を冷やしすぎない工夫。続けてきた人ほど、そうした小さな工夫が、仕事の質を守ってくれることを知っています。
経験を重ねたからこそ、見えてくる花の仕事のかたち
花屋として数年、あるいは十年以上現場に立ち続けてきた人ほど、若い頃とは違う視点で花を見るようになります。「きれいに作る」ことはもちろん大切ですが、それ以上に「安定して届けられるか」「無理なく続けられているか」といった点が自然と気になるようになる。
それは情熱が薄れたからではありません。花の仕事を現実として深く理解したからこそ生まれる視点です。花は生き物です。どれだけ経験を積んでも、思いどおりにならない日があります。そんなときに、慌てず感情的にならず、今ある条件の中で最善を考えられるかどうか。経験者の価値は、完成度の高さだけでなく、こうした揺れにくさに表れます。
そして経験者ほど「作る」以外の大切さにも気づきます。花材を傷めない運び方、道具の置き場所、作業台の清潔感、ゴミの出し方、片づけの早さ。これらは作品そのものではないのに、結果として作品のクオリティを引き上げる。花屋の仕事は、制作だけでなく、制作がうまくいく環境を整える仕事でもあります。
若い頃とは違う、働き方への戸惑い
花屋の仕事を続けていると、ふと立ち止まる瞬間があります。体力的にきつく感じる日が増えた。以前のようなスピードで動くのが難しい。家庭や子どもの予定が頭をよぎるようになった。「このまま続けていけるのだろうか」と感じたことがある人は、決して少なくありません。
けれど、その戸惑いは後ろ向きなものではありません。自分の人生と仕事との距離を見直そうとしている証でもあります。花の仕事は、若さだけで続けるものではありません。続け方を調整しながら、自分なりのリズムを見つけていくことで、長く関わることができる仕事です。
ブランクがあるということ
花屋での経験があっても、結婚、出産、育児、家族の事情などで、一度現場を離れる人は少なくありません。「感覚が鈍っているかもしれない」「前のように動けないかもしれない」そうした不安を感じるのは、とても自然なことです。
けれど、花の仕事で身につけた感覚は、思っている以上に身体に残っています。花材を見たときの距離感。色合わせの感覚。手が自然と動く瞬間。最初は戸惑っても、少しずつ確実に戻ってくるものです。
大切なのは「以前と同じに戻る」ではなく「今の自分に合う形に整える」ことです。ブランクは空白ではありません。生活の経験が増えたぶん、現場での視野も広がります。お客様の立場を想像しやすくなる人もいますし、チームの空気を整えるのが上手くなる人もいます。花の現場は、そうした成熟を必要としています。
育児と仕事、その間で揺れる気持ち
育児をしながら働くことは、花屋に限らず簡単なことではありません。急な発熱、行事、生活リズムの変化。思いどおりにいかない日もあります。だからこそ「迷惑をかけてしまうのではないか」と自分を責めてしまう人もいます。
けれど、仕事と家庭の両立に悩むこと自体が、真剣に向き合っている証です。花の仕事はチームで成り立つ仕事です。誰かが少しペースを落とす時期があれば、別の誰かが支える。そしてまた役割が入れ替わる。そうした循環があるからこそ、現場は続いていきます。
育児を経験すると、時間の使い方が上手くなる人が多いと言われます。短い時間で集中する。先回りして段取りする。無駄を減らす。これは制作の現場でも大きな武器になります。ゆっくりでも丁寧に、ではなく、必要なところに力を使い、抜くところは抜く。経験者が持つ「配分の技術」は、こういうところで生きます。
前と同じではなく、今の自分に合った関わり方
経験者がもう一度花の仕事に向き合うとき、大切なのは「前と同じ働き方に戻ろうとしないこと」です。今の自分に合ったスピード。今の生活に合った関わり方。今の体力で無理なく続けられる形。それを選ぶことは妥協ではありません。むしろ、花の仕事を長く続けるための、とても前向きな判断です。
花は今日だけでなく、明日も来年も咲き続けます。それと同じように、人の働き方も変わり続けていいのだと思います。全力で走る時期があってもいいし、支える役割に回る時期があってもいい。花屋という仕事は、人生の変化に合わせて「続け方を選び直せる」仕事でもあります。
花業界には、さまざまな居場所がある
花業界には、街の花屋、ブライダル、イベント装花、法人向け制作、EC専門など、本当に多くの現場があります。どの現場にも役割があり、向いている人がいます。接客中心が好きな人もいれば、制作中心が落ち着く人もいます。現場の第一線でデザインを引っ張る人もいれば、仕上げの精度で支える人もいる。
経験者が次の職場を選ぶとき、ポイントになるのは「自分が何にエネルギーを使いたいか」です。お客様と話すこと、提案すること、制作に没頭すること、現場の段取りを整えること。自分の強みを活かせる場所を選ぶと、花の仕事はもう一段長く続けられるようになります。
東京という街の特徴も、働き方に影響します。法人需要が多く、スピードや再現性が求められる現場もあれば、こだわりの小さなお店で丁寧に提案していく現場もあります。どちらが良い悪いではなく、どんな環境なら自分が落ち着いて花に向き合えるか。そこがいちばん大切です。

その一つの選択肢としての、プレミアガーデン
プレミアガーデンは、そうした数ある花の現場の中のひとつです。胡蝶蘭やフラワーアレンジメント、スタンド花を中心に、東京・首都圏から全国へ花を届けています。
特徴として大きいのは、来店接客を行わない制作中心のスタイルであることです。日々の仕事は、花と向き合う時間がほとんどになります。制作が好きな人、手を動かして仕上げを整えていくことに集中したい人にとって、落ち着きやすい環境だと思います。
また、法人向けの案件が多いため、一つひとつの仕事に確実性と安定した品質が求められます。華やかさや勢いで押し切るより、どんな日でも一定以上のクオリティを保てること。仕上げの清潔感、立ち姿の美しさ、細部の丁寧さ。そうした「当たり前を崩さない力」が、現場では評価されます。
派手な個性よりも、チームの流れを理解し、淡々と積み重ねられる人が活躍する現場です。周りを見て動ける人、段取りを整えられる人、困っている人に自然と手が伸びる人。経験者が持つそういう強みは、ここでも大切にされています。
ブランクのある方、育児や家庭と両立しながら働く方、そうした背景を持つスタッフも実際に在籍しています。いきなり全力を求めることはありません。花に触れる時間を重ねながら、少しずつ感覚を取り戻していける環境です。
経験者が現場に戻るときに気になるのは、技術だけではなく「空気」だと思います。無理が続く空気ではなく、必要なときに助け合える空気。淡々と作業しながらも、ちゃんと相談できる空気。プレミアガーデンでは、制作の現場を守るために、挨拶や報告・相談といった基本を大事にしています。特別なルールではありませんが、こうした当たり前があることで、現場は長く安定します。
花の仕事を続けてきた人へ
花屋としての経験があるからこそ、この仕事の厳しさもやりがいも、どちらも分かっている。それでも「また花に触れたい」という気持ちがどこかに残っているなら、それはこれまで積み重ねてきた時間が確かに意味を持っていた証です。
花の仕事は、一度離れても、また戻ってこられる仕事です。形を変えながら、距離感を調整しながら、人生と一緒に続けていける仕事です。全力で走った時間がある人ほど、次は少し違うペースで、違う役割で、花と付き合っていくことができます。
そして、その道の途中に、プレミアガーデンという現場があってもいい。制作に集中できる環境で、静かに積み重ねていく。ブランクや育児と共存しながら、花の仕事を続けていく。そうした選択ができる場所として、覚えていただけたら嬉しく思います。
花の仕事は、誰かの気持ちを支える仕事です。
だからこそ、作り手自身も、無理なく続けられることが大切です。
いまの自分に合った形で、もう一度花の現場へ。
その一歩を、そっと応援できる文章になっていたら幸いです。